「あれ、故障かな??」「なんだかあたたまりにくい?」NGな灯油を使ってませんか?
ちょっと余っているから…と昨シーズンから持ち越した灯油を石油ファンヒーターに使っていたり、保管状況の悪い灯油を使っていませんか?
灯油は持ち越してしまうと酸化して変質していたり、保管状況が悪いと不純物が混入していたりするので、トラブルの原因となって修理や買い替えが必要になるケースも少なくありません。
今回は正しい灯油の取り扱いについて基礎知識をご紹介します。
1.酸化した灯油「変質灯油」について
灯油は紫外線や温度によって酸化し、成分が変質します。
このような灯油を「変質灯油」といいます。
変質灯油の見分け方
変質灯油は、色やニオイで見分けることができます。
透明なコップに灯油と水を入れて色を比較し、灯油に少しでも色が付いているものや、すっぱいニオイがするものは変質灯油の恐れがあります。
変質灯油
- 昨シーズンより持ち越した灯油
- 温度の高いところで保管した灯油
- 日光の当たるところで保管した灯油
- 乳白色のポリタンク(水用)で保管していた灯油
- 容器のふたが開けてあった灯油
変質灯油
正常な灯油
2.不純物が混入した灯油「不純灯油」について
水やごみ、異種の油(例:軽油、ガソリン※)などが混入した灯油を「不純灯油」といいます。
水やごみが混入する原因としては、保管容器のふたの閉め忘れなどが挙げられます。この場合、雨水やごみが混入してしまいます。
また、保管容器や灯油タンク内外の温度差により、容器中の空気の水分が冷やされて水滴になり、水が蓄積される場合があります。この灯油を使用すると、石油ファンヒーターの油フィルターや油受皿に水がたまり、灯油が供給しづらくなります。
水が混入した灯油
透明の容器に入れた場合は、水が下に溜まります。油フィルターや油受皿には水滴が残ります。
透明の容器に入れた場合
油フィルターの中
油受皿の中
不純灯油
- 水やごみなどが混入した灯油
- ガソリン※、軽油、シンナー、機械油、天ぷら油などが混入した灯油
- 灯油以外の油(異種の油)を入れたことのある容器に保管した灯油
- 水抜剤や助燃剤を添加した灯油
不純灯油
正常な灯油
※:ガソリンは使用しないでください
ガソリンなど揮発性の高い油は絶対に使用しないでください。火災の原因になります。
【灯油とガソリンの見分け方】
指先につけて、火の気のないところで息を吹きかけてください。指が濡れているほうが灯油です。
ガソリンは揮発性が高く、息を吹きかけると乾燥します。
灯油 | ガソリン |
---|---|
濡れたまま |
すぐ乾く |
3.「変質灯油」や「不純灯油」でなぜ着火不良や途中消火を起こしやすくなるの?
「変質灯油」や「不純灯油」を使うと、さまざまな症状が発生します。
- ニオイが強くなる
- 黄色い炎が混じる
- 火力が上がらない
- 消火しにくい
- 着火しにくい
- 給油サインが点滅する
- 途中消火する(エラー表示:E02、E03、E13※)
※:エラー表示はダイニチ工業の暖房機器の場合です。他メーカーのエラー表示につきましては各メーカーの取扱説明書でご確認ください。
なぜ、このようなトラブルが起きてしまうのでしょうか?
その原因を詳しく説明します。
正常な灯油は、気化器で熱せられて気体になりますが、変質灯油は気体の他に、タールという燃えにくい成分が発生します。
タールが灯油の通り道などに付着すると、灯油が正常に流れなくなり、着火に失敗したり、途中で消火してしまうことがあります。
ダイニチ工業の家庭用石油ファンヒーターの場合の構造図
水が混入した場合はカートリッジタンクの下の受皿に溜まると、カートリッジタンクに灯油があっても燃料が供給されません。
これは、受皿のフィルターが全て水で覆われてしまい、油がフィルターを通過できないからです。
油フィルターに水が混入した場合、灯油が通過できなくなります。
4.灯油によるトラブルを防止するには?
1.昨シーズンの灯油は使わない!
昨シーズンの灯油が残っていても使用しないでください。変質していたり、保管状況によっては不純物や水が混入している場合があります。
2.保管場所に気を付ける!
新しく買った灯油でも、保管状況によっては変質したり、不純物が混入したりします。推奨マークの入ったポリタンクを使用することも大切です。
なお、ホームタンクをご使用の場合は年に数回水抜きをしてください。
火気・雨水・ごみ・高温・日光を避けた場所で保管する(翌シーズに持ち越さない)。
紫外線を通しにくい色付きの灯油用ポリタンク(推奨マーク付)を使用する。
乳白色のポリタンク(水用)は使用しない。
ホームタンクを使用している場合は年に数回水抜きをしてください。
5.もし「変質灯油」や「不純灯油」を使ってしまった場合の対処方法
「変質灯油」や「不純灯油」を使用したときは次の処置を行なってください。
- カートリッジタンクや油受皿内の灯油を抜きます。
- 新しい灯油でカートリッジタンクや油受皿内、油フィルターを2~3回洗う(油フィルターは乾燥させる)。
- 着火・消火を5回程度くり返す※。そのとき少しニオイがしますので、換気を十分に行なってください。
※:ダイニチ工業の家庭用石油ファンヒーターの場合の処置方法です。他メーカーの処置方法は各メーカーの手順に従ってください。
処置を行なっても直らないときは修理が必要となりますので、お買い上げの販売店へご相談ください。
水が混入したときの確認と処置の仕方
- 油フィルターを取り出して水が混入しているかを確認する。
- カートリッジタンクと油受皿内の灯油を抜き、油フィルターはよく乾燥させる。
【動画で確認】給油サインの点滅が止まらない
~水混入の場合~
以上の注意点を守って、この冬を快適にお過ごしください!