INTERVIEW

先輩社員は語る!

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研究開発職
M・U
2009年入社

品質だけでなく、コストや組み立てやすさ等あらゆる面を考慮してベストな製品を作るのが開発の仕事です。

会社の屋台骨、家庭用石油ファンヒーターの開発をしています。
家庭用石油ファンヒーターの市場は年間約200万台。当社はそのうち50%以上のシェアを獲得していますので、100万~120万台の石油ファンヒーターが毎年出荷されています。まさに会社の屋台骨。売り上げの中核を担っている製品です。

私はその開発部署である「暖房機開発部」に所属しています。暖房機開発部は二つの部署から成り立っており、毎年新しく発売される製品の設計開発をする部署と、ファンヒーターの心臓部品「気化器」の改善にあたる部署です。私は後者に属しており、気化器の効率化・コストダウン・耐久性の向上などの研究開発に長年取り組んできました。
材料の削減で年間1,000万以上のコストカットに成功。
当社の家庭用石油ファンヒーターは海外でも販売されています。海外の一部地域では国内と灯油の性状が異なるため、灯油の突沸を防止するための特別な材料を海外向け部品には取り入れていたんです。たった1つ材料を追加するだけでも年間数万台の生産になれば大きなコストアップになります。材料の追加ではなく、他のアプローチで対策が打てるのではと考えました。

まずは様々な温度で試験を行い、突沸が起きる条件を絞り込んでいきました。その後は今まで着目していなかった制御の分野も調査し、下降時半波制御でオーバーシュートを抑えることで、最終的に材料を廃止しても問題ないと証明できました。何度も試行錯誤を繰り返し、他部署も巻き込んで達成した大きな改善です。しっかりと実を結ぶことができて心から嬉しかったです。

コストカットの金額は1年あたり1,000万円を超えるのですが、それは材料費だけではなく部品を組み立てる作業者の工賃も含まれています。「単純に作業工数が1つ減って楽になった」「国内向けと海外向けを間違えないようにするストレスが減った」と現場の人にも喜んでいただきました。ただ高品質の製品を作るのではなく、コスト面や作業者の組み立てやすさなど、あらゆる面を考慮してベストな製品を作るのが開発の仕事なんだと自分自身で改めて感じられた経験です。
地味ですが、確実にお客様の生活を快適にできる自慢の製品です。
私が開発しているファンヒーターは、ものすごくカッコイイとか、オシャレで面白いとか、そういった類の製品ではないでしょう。ですが「寒い部屋を暖める」ことで確実にお客様の生活を快適にできる製品です。

「ダイニチのファンヒーターは着火が早くてありがたい。寒い朝は重宝します。」「暖房はファンヒーターが一番あったかい!」「臭いが少なくて嬉しい。」など、お客様からのお褒めの言葉が何よりの活力です。自社ブランド・最終製品メーカーの醍醐味ですね。

半面、厳しいご意見をいただくことも当然ありますので、真摯に受け止めて製品の改善に活かしています。発売から40年以上経った製品ですが、まだまだ進化の余地はあると思っています。ファンヒーターの市場は私が盛り上げる、そんな思いで日々開発に向き合っています。
※2019年1月取材当時の内容です。