コーヒーメーカー MC-SVD40A「CLASSIC」モード監修『茶亭 羽當』天野 大 氏インタビュー

コーヒー機器

本稿はコーヒーメーカー MC-SVD40Aの監修を務めた天野氏に聞いた話を、インタビュー形式でまとめたものです。回転式ノズルによる抽出法を採用したこのマシンの狙い、開発で苦労した点、そして現場での気づきについて語っていただきました。

 

コーヒーメーカー MC-SVD40A「CLASSIC」モード監修者 『茶亭 羽當』天野 大 氏
バリスタ歴は20年以上。蒸らしを重視し、豆の持ち味を最大限に引き出す抽出に定評がある。世界中にファンがいる、1989年に創業した渋谷の喫茶店『茶亭 羽當(ちゃてい はとう)』のバリスタ。
伝統的なカフェに多い、深いコクがあって濃厚な味わいのあるコーヒーを抽出する「CLASSIC」モードを監修。

取材:2025年8月

 

── まず、天野さんから見てどんな商品か教えてください。

 

天野 ミルなし、加熱保温機能もなし*で、抽出に特化したモデルです。ポイントは回転式のノズルで2つの抽出方法が楽しめます。「NEW WAVEモード」は湯量が多く、ノズルが早く回る方式で、コーヒーの味を出し切るイメージです。浅煎りのモカやコロンビアなどに向いていて、華やかで香りや風味が高く出ます。一方で、私が監修した「CLASSICモード」はミルクに合う、コクがあり、重めの味わい。ブラジルやマンデリンなど中深煎りから深煎りが向いています。*ステンレスボトルによる保温あり

 

── 監修を引き受けたきっかけは何でしたか?

 

天野 最初は2022年のダイニチ工業さんの新製品発表会で、新製品としてリリースされた焙煎機のバリスタとして参加したとき、自分のコーヒーを評価してもらったことがきっかけです。今回の依頼を受けたときは「やってみたい。楽しそうだし、勉強になる」と思いました。

実際に関わってみると、流量やスピード、3投目で何cc注いでいるかなど、今まで感覚でやっていたことが数値化されるのがとても興味深かったです。自分で「こんなに入れていたのか」と驚くこともありました。

2022年度メディア向け発表会で発表した焙煎機の試飲

 

──開発で苦労した点やこだわった点はどこですか?

 

天野 私よりも、開発担当の方が大変そうだと見ていて思いました。でも、やるならしっかり作ってほしいという気持ちが強かったです。特にノズルの回転ができなければ、既存のコーヒーメーカーと変わらなくなってしまう。そこができないと私が監修する意味がないと思っていました。

回転式ノズルの狙いは、抽出のタイミングと量を忠実に再現することと、お湯に動きをつけることです。私はコーヒーの味を最大限に引き出すことに注力していて、特に1投目の「蒸らし」が一番大事だと考えています。中から豆全体を蒸らし切る必要があり、そのためにもノズルを回転させる必要がありました。そうでないと十分に味が出ずに「芯のないコーヒー」になってしまいます。蒸らしは非常に繊細な工程で、熟練した手技が味の完成度に直結します。

一方で2投目、3投目は、ある程度湯を落としながら湯に浸りきらない淹れ方を狙います。湯に浸りきってしまうとえぐみや渋みなど不要な成分を拾ってしまうため、一定のスピードでお湯が落ちるように流路を作ったのがポイントです。

開発初期段階で天野氏の淹れ方を学ぶ

 

──開発にあたり何度も本社・新潟に来ていただきましたが、その際のようすを教えてください。

 

天野 新潟には合計で4〜5回行きました。試飲はかなりハードで、1日で13杯、2日で30杯試飲したこともあり、胃が荒れるのが辛かったですね。帰りに新潟のおいしい回転寿司に寄るのが楽しみでした。本社までの道のりは田んぼや畑がほとんど、大雪のときは一面の雪景色で風情がありました。

回を重ねるごとにどんどんマシンがよくなっていました。最初は「本当に大丈夫か?」と思って、できなければ「これは出せない」と言おうと考えていたくらいですが、よいものができあがり、安心しました。

味評価のために何度も試飲を行う

 

──レシピ面での特徴はありますか?

 

天野 私のレシピは基本的に3投で淹れる方法です。1投目、2投目、3投目の調整がポイントで、深煎りの豆はノズルの回転速度を遅く、浅煎りは速く回すようにしました。豆のふくらみ方が違うので、深煎りと浅煎りではお湯の量も変えています。

 

──今回の監修で感じたことを教えてください。

 

天野 微調整を何度も繰り返しましたが、こんなに自分のコーヒーと向き合った期間はなかったです。店に入ってから日々の淹れ方についてもより意識するようになりました。

 

──最後に、このマシンについて総括をお願いします。

 

天野 率直に言って、ヘタな店に行くよりもこのマシンのほうが断然良いと思います。よい豆を買っても淹れ方が上手くできないと残念な味になりますが、これならマシンが安定して淹れてくれる。よい豆のポテンシャルをしっかり引き出してくれるはずです。ぜひよい豆をたっぷり使っておいしく飲んでほしいですね。

また、2種類の淹れ方があるのも面白い点です。中にバリスタが2人入っているようなもので、朝はこっち、夕方はこっちと時間帯や気分でまったく違う味を楽しめます。ミルや保温機能を敢えて外してドリップに特化した分、再現性の高さは本当にすごいと感じます。

天野氏が監修した「CLASSIC」モードにて抽出

 

天野 大氏監修のコーヒーメーカーはこちら

この記事をシェアする

マイニチプラス トップへ